「事件解決」とは何か

  • 一般
  • 2018年08月05日(日) 15:50

数少ないホームズが失敗した事件の一つとして「ボヘミアの醜聞」事件があります。

一方で、例えば「踊る人形」事件に関しては、ホームズは暗号を解いたことだし、真相も解明できて一般的には「成功した事件」に分類されることになっています。

しかし私は「ボヘミアの醜聞」は成功した事件で、「踊る人形」が失敗した事件だと思うのです。

それは事件解決とは依頼人の希望を満たすことだからです。

「ボヘミアの醜聞」はホームズはアイリーン・アドラーに一杯食わされたというエンディングになっていますが、当の依頼人は大いに満足しています。だから別にいいんです。ホームズが満足するかどうかは関係ありません。

「踊る人形」は真相が明らかになりましたが、依頼人が殺されています。依頼人が殺されることは諮問探偵としては最も避けるべきことです。この事件は失敗以外の何物でもありません。

だから「ボヘミアの醜聞」は失敗した事件で「踊る人形」が成功した事件とされる、一般的な解釈に違和感があるのです。

これは探偵業に限らず、恋愛だろうとビジネスだろうとすべて同じで、相手の希望を満たすことを第一に考えてこそ成功へ近付くのではないでしょうか。

関連するかもしれない記事

[英語] bittern サンカノゴイ

「バスカヴィル家の犬」に出てくる鳥の名前として bittern(サンカノゴイ)があります。 イギリスのクイズ番組 “Countdown” では辞書学者が単語の語源を教え

続きを読む

[書籍]『図説 英国の住宅』

ホームズ関係のツイートで、『図説 英国の住宅』 (山田佳世子;Cha Tea 紅茶教室、河出書房新社、2018)にロンドンのシャーロック・ホームズ博物館が載っていると知り、

続きを読む

「花婿の正体」は気持ち悪い?

5年前にシャーロック・ホームズ全集の読書会を開いたとき、まずは比較的ハードルが低い『シャーロック・ホームズの冒険』を課題図書としました。 その中で「花婿の正体」と

続きを読む