[読書メモ]『シャーロック・ホームズ 大人の楽しみ方』

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  • 2018年09月28日(金) 12:12

p34
「可能性がないものをすべて除外したら、いかに可能性がなさそうに見えても、残ったものが真実だ」/これはホームズの最も有名な公理。全 60 作中、4回もこの公理を口にしている。

p34
実社会においては、選択肢そのものを捜すことからはじめなければならないのである。

p41
黒い傘が流行したのは、煤煙に汚れても目立たなかったからである。

p43
ポンド(ソブリン)は金貨、シリングは銀貨、ペニーは青銅貨だ。他にクラウンという単位もあり、5シリング銀貨(6000 円)に相当する。5ポンドからは紙幣で、実際には流通しなかっただろうが、最高は 1000 ポンド札。なんとなんと紙切れ1枚が 2400 万円である。昔のイギリスのお金って、ややこしいのだ。為替レートは、一般に金貨に含まれる金の量を基準としており、1ポンドはアメリカ通貨で約5ドルだったから、1ドルは約 4800 円だった。

p44
ホームズの時代、まだまだ働く女性たちの社会的地位は低かった。たとえばお金のために人に雇われて働いたことがないというのが、つい最近まで王太子妃の条件のひとつだった。

p47
第一次世界大戦で出征したイギリス軍将兵のうち、平民の死亡率は8パーセントから9パーセントだったが、貴族の死亡率はなんと平民の2倍だった。最も危険な任務に就いていたのである。

p51
1985 年にイギリスで作られたローバー型自転車は、前輪と後輪が同じ大きさで、現在の自転車の原形とされる。それまで主流だった前輪が大きく後輪が小さいオーディナリー型は乗り降りが難しく危険だったが、ローバー型は安全だった。

p64
「明白な事実ほど、あてにならないものはない」

p72
朝食は原則として、ベーカー街の下宿でとっていた。ハムエッグ、ベーコンエッグ、スクランブルドエッグ、かたゆでの卵2個、この中のどれか一品にトーストとコーヒーがつくのが一般的なメニュー。これはもともとイギリスの下流階級の典型的な朝食だったが、ホームズの時代には中流階級にも広まっていたそうだ。

p81
ホームズはベーカー街の下宿でも、ワトソンや顔なじみの刑事など、ごく限られた人びとを除いて、人前でたばこを吸わない。特に依頼人の前での喫煙は控えていた。全 60 作品中、依頼人が下宿を訪ねてきたとき、用談の最中に喫煙したのは全部で6回。そのうち3回は事前に相手の了承をとっている。無断喫煙は3回しかなく、相手はいずれも男性だった。/先方に承諾を得た喫煙は、『赤い輪』『高名な依頼人』『ベールの下宿人』の3回。無断喫煙は『入院患者』『海軍条約』『ショスコム荘』の3回。

p82
最低単位が1ペニー(100 円)で買えたアヘンは、まさに庶民にとって安上がりな万能薬。幕末開港のとき、日本がアヘンの輸入を禁じたのは、アメリカに強く警告されたからだそうである。

p84
ホームズは、おしゃれだった。腕が悪くて稼ぎが少ないだろうと思われないために、決して貧しげな姿を依頼人というか取引先に見せてはならないのだ。

p84
真っ白なシャツは頻繁に洗濯したり、買い換えたりする余裕があることを示すステータス・シンボルだった。

p90
ホームズが発砲したのは2回しかない。1回は『四人の署名』で、アンダマン島原住民のトンガが、ホームズたちを毒の吹き矢で狙ったとき。もう1回は『バスカービル家の犬』で、巨大な魔犬がヘンリー卿に襲いかかったときである。

p102
ホームズは目的のない運動はエネルギーの浪費だと考えていた。

p105
実はホームズもワトソンも、作品中では一度もトイレに行かなかった

p108
流しの馬車を呼び止めるため、人びとは懐中時計の鎖にホイッスルを掲げていた。

p109
一般に馬の寿命は 20 年以上だといわれるものの、このオムニバスをひく馬はとことん酷使され、短ければ2年、長くても7年かそこらで死んでしまうものも少なくなかったそうである。

p110
『白銀号』のウェセックス杯で、3着に入ったアイリス号の馬主のバルモラル公爵は、よくよく考えてみれば『未婚の貴族』に登場したセント・サイモン卿の父親だ。また、『空き屋』でモラン大佐と組んだロナルド卿にトランプで大金をせしめられたのも彼である。こうして見ると、ホームズ作品中のあちらこちらに出没する人物もいるようだ。

p113
イギリスでは、発信者の都合で一方的にかかってくる電話が嫌われて普及が遅れ

p118
『緋色の研究』で「ブルドッグの子犬を飼っている」と、自己紹介したのは怒りっぽいという意味だ。

p145
他人の変装を見破るのは苦手だったのか、まんまと騙されたことが3回もある。/『緋色の研究』『ボヘミアの醜聞』『唇のねじれた男』の3回。

p153
大悪党のグルーナー男爵は、ド・メルビル嬢をマインド・コントロールにかけて婚約。

pp156-157
ホームズに殺された人が2人いることを、皆さんはご存知だろうか。/1人目は『四人の署名』で、ホームズとワトソンに撃たれたトンガである。[…]2人目は『最後の事件』で、ホームズと決闘してライヘンバッハの滝つぼに転落したモリアーティー教授。

p160
『高名な依頼人』だけは例外で、ホームズがあえて代理人のジェームズ卿に説明を求めなかったのは、エドワード7世の私的な依頼であることが推察されたからだと思われる。

pp160-161
警察関係者から直接に協力を依頼されたのは9件あり、これはコンサルティング探偵たるホームズの本業といえる。政府からの依頼は4件で、そのうち2件はスパイの検挙だった。その他の依頼は、王侯貴族から6件、軍人と官僚から計3件、平民の億万長者から2件、農場主や自営業者から計 10 件、大学の教職関係者から3件、家庭教師から3件、ホームズの友人から2件、馬の調教師、守衛、大学生から1件ずつで、フリーターと無職者から計 11 件、職業不明者からが1件となっている。そのうち、女性はワトソンと結婚するメアリー・モースタンを含めて 11 人である。特筆すべきは、メイドを雇って気ままに暮らしている無職者が多いこと、そして店員や工員など労働者階級の人がほとんどいないことだろうか。

p161
『最後の事件』『空き屋』『瀕死の探偵』は、ホームズが当事者となって、命を狙われた自衛のための戦いなので、依頼人は存在しない。

p162
貧乏人を相手にしないと思われていたのか、初期の作品では、依頼人たちが自分の収入や財産を、ホームズに説明する場面が目立っている。

p164
依頼人があってこその私立探偵で、ホームズもまた依頼人の利益を第一に考えざるを得なかった。唯一の例外は『引退した絵具屋』。殺人犯だった依頼人を警察に尽き出したが、このときは彼が精神異常者だったこともあり、絞首台ではなく病院送りにしたほうがよいと口添えをしている。

p170
「人は誰もが小さな不滅の火花を、自分の内に秘めている」

p170
「世の中においては、なにかをしたということではなく、なにかをしたと皆に信じてもらうことが重要だ。気にしなくていいさ」

p179
イギリスで魔女狩りが終息したのは 18 世紀である。

p198
作品の中にも離婚さえできれば悲劇にならなかった事件がいくつかある。/男女の愛憎を題材にした作品がいくつかあるが、『アベイ農園』『ボール箱』『悪魔の足』『ソア橋』『ベールの下宿人』『引退した絵具屋』の6作は、離婚が困難だったことが事件にからんでいる。

p202
有名なホームズ・クイズに、ワトソンが撃たれた回数を当てるというものがある。アフガン戦争で受けた肩と脚の傷を1回に数えれば、『三人のガリデブ』と合わせて2回。肩を1回、脚を1回と数えれば、『三人のガリデブ』と合わせて3回になる。

p206
お金のために若い女の子が自慢の髪を切るのは、ルイザ・オルコット著『若草物語』のパロディだろうと思われる。

p240
ふたつの類似した殺人事件の犯人が別々だという点に意外性がある。

p240
マインド・コントロールという発想が現代的。

p241
事件後、なぜか老教授は急に大食いになったという。

p242
題材は試験のカンニングにすぎないが、容疑者がしぼられており、犯人当てクイズとしては楽しめる。

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