[読書メモ]『詳注版シャーロック・ホームズ全集3』
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- 2018年11月08日(木) 07:24
p12
この当時、専門職に従事している人は、現代の職業道徳の許す枠内でも、自分の仕事の広告を出すという習慣がなかった。
p14
彼の生還をホット・ニュースとして公表したのである。
p19
露骨な言い方はしたくないが、二度もひどい無分別を犯したことのあるような女性は3度過ちを犯さないとも限らない、と言ってもさしつかえなかろう。
p29
おそらくこの瞬間にも、交通機関の限りをつくして最高速で急送されていることと考えられます[。]
p32
こうした諜報員はそれぞれ独自の立場で活動していて、大使館とは緊張した関係にあることも少なくないのです[。]
p35
ペニーは現存する英国貨幣単位としては最古のものである。
pp35-36
これまでホームズには、捜査の途中で何度となくびっくりさせられてきたので、今度は彼がすっかり驚いてしまったのを見て、私は大喜びだった。
p40
ホームズは何度も、材料なしに理論を組み立てることや、早合点をしてはいけないと言っている。しかし実のところ、ホームズ自身、何の事実もなしに早合点していることがいくらもある。
p42
ロンドンで最も愛らしい婦人を迎えるという光栄に浴したのであった。
p43
それでは私の立場がむずかしいものになってしまいます。
p52
その日一日中と、そして次の日とまた次の日も、ホームズは寡黙とも不機嫌ともいえるような状態にあった。あわただしく出たり入ったりして、たて続けに煙草はふかす、ヴァイオリンをかき鳴らす、瞑想にふける、不規則な時刻にサンドイッチをむさぼり食う、といったふうで、私がふと何かを聞いてみても、ろくに返事もしないのだった。
p54
いささか自信をもって言える。
p66
ホームズの硬直した顔を見て、私には彼が内心の興奮で身ぶるいをしていることがわかった。
p68
ホームズは『早く』という言葉をむやみに使う人間ではなかった。
p72
クイア・ストリートというのは、様々な種類のやっかい事にまきこまれた、あるいはまきこまれそうな人間の住む架空の街、もしくは場所のことである。
p88
わたしのしたことは、ひとつの災難を別の災難に転じただけでした。
p104
彼女はダイナマイトよりも危険で、避けるべき女であるとわかったはずだ。
p118
「ワトソンは意図的に欺(だま)そうとしたがゆえに、年代のクモの巣をもつれさせたのである。」
p118
記憶の誤りでも筆の誤りでも植字工の誤りでもなく、年代にこだわる同時代の読者を迷わせようと意図的に行った挿入なのである。
p121
年代とか歴史的事実というような退屈な問題については、やさしい妻は何も言わなかったろうが、自分の家庭生活に関することだったら、虎のようにとびかかったはずだ。
p168
どう考えたって、この国の陪審員たちはまだ、レストレードの並べる証拠よりも、僕の推理のほうを重視するほど、知能が高くないもんなあ[。]
p169
『事実の前には子供の如くあれ。一切の先入観を捨て、どこまでも自然の導くままに従え。さもなくば何も学ぶことはできない。』
p184
実際のところ、感情が理屈の上でホームズにとっていかにいまわしいものであっても、本当は彼の一部であった。感情はホームズの生涯に満ち満ちており、その特徴的な行動の源でもある。ホームズはひややかな知性だけの人間では決してない。ホームズは血も涙もある、お天気屋的なところもある感情豊かな人間なのだ。
pp190-191
やれやれ、ホームズ。きみにあっちゃかなわないね。何世紀か前に生まれていたら、きみはまちがいなく火あぶりになっているよ。
p195
ホームズとワトソンの時代、ロンドンの中心部では郵便の配達は何と1日 12 回も、ベイカー街では1日6回も行われていた。しかしながら日曜日には郵便配達はお休みであったから、安息日に手紙を送りたい者はコミッショネア[…]か、その他の特別なメッセンジャーに頼む必要があったのである。
p196
まだ資料がない。論拠を持たないうちに理論を構成しようとするのは、重大なあやまちだ。事実に合う理論をつくり出すかわりに、無意識のうちに理論にあわせて事実をねじ曲げるようになってしまうからさ。
p201
「でも依頼人のほうで__」
「気にすることはない。ぼくにはきみが必要になるかもしれないし、そうなれば彼もきみが必要なわけだ。」
pp207-20
彼は長年にわたって、さまざまな人物や事件に関する要点を記録し、整理してきたので、どんな事件や人名を持ち出されても、即座に情報を引き出せるのだった。
p220
小さいながらも優美な(ビジユー)[…] “bijiou” とは宝石とか小さな装身具という意味だが、ここでは比喩的に用いられている。
p228
かつてのイギリスの法律では、結婚式は午前中に挙げなければならなかった。
p237
彼が犯罪の専門家になったことにより、科学界は鋭敏な理論家を失い、同時に演劇界もまた、優れた俳優を失ったのである。
p246
ワトソンがへまをしてかして、おじゃんになった事件はない。
p246
ホームズが私立探偵として開業した当初から、多くの熟練したアシスタントたちをす早く集めることができたのは明らかである。
p284
ワトソン、きみは沈黙というすばらしい天分をもっているね。だからこそ、きみは相棒としてまことに貴重な存在なのだよ。
p324
正直いって、ぼくはもぐら同然の盲目だった。
p354
「ご忠告いただきたいと思って参上したのです」
「おやすいご用で」
「お助けいただきたいと思いまして」
「そちらは、おやすいご用とは限りませんね」
p357
「私のところに持ち込まれるのに、尋常な事件はありません。私は最終上告裁判所なのです」
p411
物事を知るのが私の仕事でしてね。ほかの人が見落とすようなことも見てとれるように、訓練をつんでいるのです。でなければ、あなただって私のとことへ相談しにいらしたりはしないでしょう?
p434
どこを見るべきかを知らないから、大事なところをみな見落としてしまうんだ。
pp496-497
それでわしは、かねがねあなたが困っている人たちの相談にのって、いい知恵を授けてくれると聞いていたので、すぐ飛んできたわけです[。]
p518
疑わしい人物ばかりなのである。完全に白といえる人がいないどころか、灰色そうな人もいない。
p538
ぼくの人生というのは、平凡な生活から逃れようとする果てしない努力の連続だ。
p547
ハドソン夫人の言った通りだった。ホームズは以前にも増してわがままになっている。だがそれにしても、彼の衰弱した姿を見るのは悲しかった。
p584
「最高の演技というのは、役になりきることなのだ」
p598
これはなんといっても『寛容の季節』における出来事であり、できるだけ不愉快な考えはなくしたいと思うのである。
p604
19 世紀当時には『大きな頭は大きな頭脳、大きな頭脳は大きな知性』という三段論法は、広く信じられていた。
p626
原文「プライベート・バー」パブは2つの部分、大衆的な「パブリック・バー」と値段がやや高く、すいている「サルーン・バー」に分かれている。
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