[レビュー][読書メモ]『ミステリ・ハンドブック シャーロック・ホームズ』

Amazon.co.jp: ミステリハンドブック シャーロック・ホームズ : ディック・ライリー&パム・マカリスター, 日暮雅通監訳: 本
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3年ほど前に買った本ですが、今まで拾い読みしかしていませんでした。やっと通読をしました。

バランスの良い解説で癖がなく、ホームズおよび当時の文化等について総合的に学べます。かなり勉強になりました。

ただ、ホームズ物語に詳しくない人がいきなり読むには難しいと思います。

以下は付箋を付けた箇所です。

* * *

p31
服装でさえも、特に男性のビジネススーツは、ホームズの時代からそう大きく変化しているわけではない。/ホームズの時代のビジネスマンはそのまま現代のロンドンの通りを歩けるし、特に違和感もないだろう。

p34
地位の低い召使いたちは、姓ではなく名で呼ばれていた[。]

p35
またロンドンは何百年にもわたって霧が発生しやすく、あまりに濃い霧のために、文字通り目の前にかざした手が見えないこともあった。

pp46-47
伯父リチャードは趣味にも秀でていた。考えごとをするときには――良きにつけ悪しきにつけ――心を空っぽにしてヴァイオリンを弾くのが常だった。

p52
医学の世界でやっていこうとする大胆な行動の最後として、ACD[=アーサー・コナン・ドイル]は家族と共にロンドンへ引っ越し、眼科専門医を開業すると看板を出した。話では患者は一人も来なかったという。だがこれは世界中にとって幸いなことだった。彼は空いた時間を執筆にあてていたのだ。

p56
エジプトに行ったときは、カイロの警察がシャーロック・ホームズ物語を捜査の教本として使っていることを知った。

p58
そうしたあいだもずっと、ACDは恐怖小説、戯曲、政治論文、歴史小説を書き続けていた。駅で切符を買うために並んでいるときも、プラットフォームを歩いているときも書いていた。そして夕食をとるべきときも部屋に閉じこもって書き続けた。

p62
トルコでは皇帝がシャーロック・ホームズの熱烈なファンだと知った。

p62
彼は執筆なしでは生きられぬ作家であり、毎朝六時半には仕事を始めるというスケジュールを守り、汽車を待っているあいだにも書き続けているほどだった。

pp75-76
ロイ・ポーターが『ロンドン――その社会史』で書いているように、ホームズの頃のロンドンの人口は「スイスとオーストラリアを足した数を遙かに上回り、 ノルウェーやギリシアの二倍に達した。ロンドンにはアバディーンよりも大勢のスコットランド人がおり、ダブリンよりも大勢のアイルランド人がおり、ローマよりも大勢のローマカトリック教徒がいた」

p81
「ロンドンについて正確な知識を持つというのが、ぼくの趣味のひとつなのさ」

p94
だが登場する人物の職業ではなく、人柄や性格を私たちにわかるように教えてくれるのは、たいていワトスンだった。

p111
出版されるまでにそうした複雑な事情があったため、「ボール箱事件」の冒頭の、ホームズがワトスンの考えていることをあてる有名な場面が「入院患者」に挿入されることになり、その後また元に戻された。『シャーロック・ホームズ全集』のアメリカ版では、両方の物語にこの場面が出てくる。

p113
考え込んだりすねたりすることも含めて、ホームズはいつでも自分の願望に忠実だった。

p113
ご多分に漏れず平凡な人物であるワトスンが思い浮かべる快適なものというのは、家庭、友人、おいしい食事、暖かいベッドなどだが、変わり者のホームズの場合は、普通の基準でははかれないのである。

p114
自分は楽しい生活を送る資格があるのだという自信も持っていた。

p115
「ボヘミアの醜聞」でワトスンは、「一方ホームズのほうは、その完全にボヘミアン的な気質から、あらゆる種類の社交を嫌い、ベイカー街の下宿にとどまり、古書の中に埋もれて、ある週はコカインに浸り、ある週は大いなる気力をもちーーつまり麻薬に陶酔する日々と、彼独特の鋭い天性でエネルギッシュに仕事に打ちこむ日々を、交互に繰り返していたのである」と書いている。

p120
クレイ・パイプは考え事には欠かせないという特別の目的があった。ワトスンは何度もホームズがこのパイプを相談相手にしていると記している。

p122
ワトスンはラグビー選手だったが、ホームズはチームプレイヤーではなかった。水泳や釣りのような一人で楽しむスポーツか、フェンシングのような一対一でやるスポーツが好きだった。

p124
九月の嵐の晩に、索引をつくる以外の時間の過ごし方などあるだろうか?

p128
つまり、「初歩だよ、ワトスン君」という言葉そのままは言ったことがないが、同じ意味の言葉は正典に数え切れないほど登場するのだ。

p138
アヘンを吸うのは東洋の低俗な悪習というイメージがあった(だが十七世紀にアヘン吸入を中国にもたらしたのは、他でもないヨーロッパ人だった)。

p146
“The game is afoot!”がシェイクスピアの『ヘンリー五世』および『ヘンリー四世』からの引用、つまり「獲物が飛び出した」であることは、すでに世界中のホームズファンたちの知るところだ[。]

p149
一九七四年がシャーロッキアーナ・シーンにおいてエポック・メイキングな年であった[。]

p164
シャーロッキアンの多くはコレクターでもあるわけで、世の多くの趣味と同様、コレクターに対するその配偶者の目は往々にして冷たいようだ。

p165
アメリカMENSA(高知能指数が条件のクラブ)

p180
シャーロッキアンのあいだでは神学上の用語が使われることがけっこう多い。ホームズは通例「ザ・マスター (主)」と呼ばれ、彼の事件を集めた物語は「ザ・セイクレド・ライティング(聖典)」または「ザ・キャノン(正典)」と称される。六〇編の正典以外でドイルがホームズについて書いたものは「ジ・アポクリファ(外典)」で、これもまた宗教の用語からとられている。

p198
「おびただしい数の押し入り強盗や追いはぎがいて……夕食後は武装していないと出かける気にはなれない」

p198
「切り裂きジャック」事件が始まったのは一八八八年で、『緋色の研究』が出版された年だった。

p204
ホームズが「ボール箱事件」で「難事件の場合にだけ僕の名前が残るようにしたいんでね」と言っていることが、仕事に対するホームズの基本的姿勢を考えるうえでの、重要な手がかりになっている。

p211
ワトスンは名探偵からも尊敬されていた。ホームズが一番認めていたワトスンの長所は、とにかく信頼できることだった。「全面的に信頼できる人物がそばにいてくれるのといないのとでは、ぼくにとっては大きなちがいだからね」とワトスンに言っている。

p213
ベイカー街の部屋にホームズを訪ねてやって来た人々は、ワトスンが同席することに眉をひそめるか、まったくワトスンを無視するかのどちらかだった。

p214
ワトスンはいわば理性の声であり、ホームズが子供ならばワトスンは大人だった。

pp227-228
ブルドッグの子犬を飼っているという、『緋色の研究』でのワトスンの謎の発言も忘れるわけにはいかない。その後どの物語にもブルドッグに関する記述はないし、ブルドッグが登場することもない。この事実に関しては、ホームズ研究家であるジャック・トレーシーが、信頼できる答を出している。それによると、ヴィクトリア朝のインドに居住していたイギリス人は「ブルドッグの子犬を飼う」という言葉を癇癪を起こすという意味で使っていたというのだ(『シャーロック・ホームズ事典』)。謎は解けた。

p243
イタリア語にはKという文字がないのだ。

p253
「最高の演技というのは、役になりきることなのだ」(ホームズ)

p257
ポンド自体は一種の記号であって、相当するコインがソヴリンだった。

p260
もしミス・モースタンがバスカヴィル家の親戚だったとしても、その遺産を相続できる可能性は低い。当時の法律では不動産は分割できず、長男かその遺族だけが相続できることになっていた。ミス・モースタンの遺産が貴重だったのは、土地ではなくて宝石だったので、女性でも相続できたからだった。もちろん結婚した場合は、法律的にはすべての権利が夫のものとなる。

p264
冒頭のワトスンの言葉には、前出「マザリンの宝石」の”著者”が誰かという問題に関する手がかりもある。

p269
ホームズは「ロンドンでもまさに最悪の下宿人」だったが、ハドスン夫人は「ホームズを心から尊敬していて、彼の行動がどんなにひどいものに思えても、決して口出ししようとはしなかった」のである。

p274
孤独な名探偵は女性の行動を一般論でとらえることが多かったが、社会的な固定観念にはとらわれずに自由に考えることができた。

p279
『オックスフォード英語辞典』には、「シャーロック」という単語が「推理する、演繹する、評価する」の意味の動詞として載っているほどだ。

p293
シャーロックには謙遜などという悪癖はみじんもなかった[。]

p298
私は自分の言ったことしたことをすべて書き留めてくれる親友をもっている[。]

p306
エドガー・W・スミスはこう説明している。「ワトスン博士のかわりにペンをとって、自分であの冒険譚を書いてみよう……そう人生の中で一度も思わないような人物は、シャーロッキアンとは言えないのだ」

p321
「名探偵にはみんな、親友兼記録者の相手がいなくちゃならないのよ」

p325
英国人以外の伯爵は「カウント」。

p332
ジョン・クレイは相棒をアーチーというファーストネームで呼んでいる[。]

—– 誤植 —–
p6
十九世紀英国における貴族と平民
→フォントが違う

p7
元英国政府職員 マイクロフト・ホームズ
→ダーシがなく、フォントが違う

p47
誤:オペラ歌手ジーン・レッキーのことを
正:オペラ歌手ジーン・リッキーのことを

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